女性の多くが「イケる」「イケない」で悩んでいるのに対して、セックスにおける男性の悩みで多いのが「早い」でしよう。一般に”早漏”といいますが、これと”遅漏”をあわせて”射精障害”といいます。いずれも男性にとってだけでなく、パートナーの女性にとってもデリケートな問題です。
早漏とは、具体的にどのくらい早いことをいうのでしょう?その定義は、提案者によって分かれます。「挿入後2分以内の射精」と時間で区切る定義もあれば、「ピストン運動500往復未満で射精する」という定義もあります (なんと腰に万歩計を装着してカウントするそうです!)。しかし、セックスの最中に時間やピストンの回数を測るわけにもいきませんし、そもそも数字で割りきれる問題ではありませんよね。
それよりも「女性を満足させているか、いないか」のほうが重要です。極端な例えですが、もし挿入時間が10秒未満でも、そのあいだに女性がオーガズムに達することができたなら、それは早漏ではありません。そこで当サイトでは「セックスをした回数のうち半分以上、パートナーの女性を満足させるだけの挿入時間を維持できない」。これを早漏と定義します。
さらに早漏は2種類に分けられると考えています。本当はもっとパートナーを悦ばせたい、先にイカせたいのに、どうしても我慢できなくて射精してしまうタイプと、自分さえ満足すればよいので、女性の満足度とは無関係にさっさと射精してしまうタイプです。前者を「愛すべき早漏」、後者を「愛せない早漏」と呼びたいくらい、両者のあいだには隔たりがあります。
例え射精が早くても、前戯で心を込めて愛撫してくれたり、自分を悦ばせようといサティスファクションで一所懸命な姿勢を見せてくれたりすれば、女性は満足感を得られます。このような”愛すべき早漏”の男性は、改善の必要はそれほどないのかもしれませんが、ちょっとした工夫をするだけで、ふたりのセックスライフをより楽しいものにすることができます。
それは、女性のブレンド・オーガズムを上手に利用することです。早漏の人にとって挿入後、女性を膣でのオーガズムまで導くのは難易度が高く、プレッシャーを感じてしまうこともあると思います。そんな男性は、女性が”クリトリスでイキながら、膣でもイッているような快感”を味わっているのを確認してから、自分もイクという方法にトライしてみましょう。
指やローター、もしくは舌で女性のクリトリスを刺激し、女性がクリトリスでイキそうになる直前に、男性はペニスを挿入します。クリトリスのオーガズムと膣のオーガズムのあいだに時間差はほとんどないため、女性はほどなく膣でオーガズムを迎え、男性はその姿を見ながら射精できます。これは精神的な充足感につながりますが、膣壁が痙攣でうごめいているため、ペニスが感じる肉体的充足感もまた、倍増します。
とはいえ、早漏の人が自分自身の射精をもっとコントロールできるようになれば、本人の自信につながり、より豊かなセックスライフへと踏み出せることは間違いありません。そこで、早漏を克服する方法を紹介しましよう。この方法は、男性ひとりでそれを行うのはほぼ不可能であり、パートナーの協力なくしては成立しません。そうした意味でも”愛せない早漏”の男性は、一度あらためて自身のセックスを振り返る必要があります。自分も女性も満足し、終わった後にふたりで幸せな気分につつまれるセックスは、ひとりよがりに達してしまうセックスとは比べられないほど濃厚です。
そんなハイレベルな満足感を目指してパートナーと向きあい、ふたりで一丸となって取り組んでみてはいかがでしょうか。代表的な克服方法は”セマンズ法”と呼ばれるもので、次のようなステップをたどります。
① 女性に手でペニスを刺激してもらう。マスターベーションしているときと同じようにするのがポイント。射精しそうになったら女性に合図 (言葉で伝える、手を握るなど) をして、手を止めてもらう。快感がおさまったところで、女性は手の動きを再開。これを4回繰り返し、4回目で射精する
② ローションを使い①と同じようにして手で刺激する
③ 騎乗位の体勢で挿入する。男性は腰を動かさず、女性の腰に手を添えて女性が上下に動くのをサポートする。射精しそうになったら男性は合図をして、女性は動きを止める。男性の快感がおさまったところで、女性は腰の動きを再開。これを4回繰り返し、4回目で射精する
④ 男性は側臥位で女性に挿入し、③と同じ方法で刺激する
⑤ 男性は正常位で女性に挿入し、③と同じ方法で刺激する
一段階ずつじっくりと取り組んでいかなければならないため、克服にはとても時間かかかります。数週間から数カ月、あるいはそれ以上かかるかもしれません。その間、女性は快感をあまり得られないことになるため、事前によく話しあい、理解を得ることが大前提となります。
また、ある種類の抗うつ薬を服用するという克服方法もあります。うつ症状がある男性は性的快感を感知しにくく、よって射精もしにくいというのを逆手にとった治療方法です。より手軽な方法で、いま現在はパートナーがいないという男性もトライしやすいため、一考の価値はあります。とはいえ、インターネット上に出回っている薬を個人の判断で買うのではなく、きちんと泌尿器科の専門医に相談してから試してください。
克服を目指す過程で、心に留めておいてほしい注意点がひとつあります。それは、早漏を気にしすぎないこと。快感を与えようとがんばってくれたうえでの”愛すべき早漏”であれば、女性に気持ちは伝わります。それなのに、早くイッたことでいつまでも落ち込んでいられては、女性も困ってしまいます。「今夜も早くイッちゃうかも」という弱気な気持ちが早漏を加速させることもあるので、あまりこだわらないことが大切です。セックスは楽しむためのもので、気にしすぎはせっかくの気分に水をさすだけ。リラックスするのが、いちばんの処方箋です。
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